義昭は無表情でうなずく。

…もう少し感情を出しても良いでしょ!色葉ちゃんは悲しいよ…!

心の中でボケながら次の説明をしようと口を開いた。

「次は貝塚ね。貝塚っていうのは、人々が食べたあとの貝がらなどを捨てたゴミ捨て場のこと。次は土偶。縄文時代に作られた土製の人形。女性をかたどったものが多く、魔除けや豊作を祈るために作られたと言われている……縄文時代はこんな感じでいいかな。一日に1つの時代の勉強しようか」

私は義昭を見つめる。天くんは義昭を見つめながらニコニコ笑っていた。

「………縄文の 魔除け人形 土偶なり」

義昭は口を開いた。天くんは驚くことなく義昭に色紙と筆を渡した。義昭は表情を崩すことなく色紙に筆を走らせた。

それを天くんに渡すと、天くんは「縄文時代は完成ですね」と微笑んだ。

「…お前、さっさと帰れ。俺は授業してほしいとか言っとらんだろ」

「まだ言いますか!色葉様は住むところが無いんですよ!?」

「知らんな」

くるりと私から背を向けた義昭は、少しその場で立ってため息をついた。

「……お前、ここに泊まっても良いが変なことはするなよ」

そう言って義昭は部屋を出て行こうとする。

「誰が変なことをするか!!」

私は義昭の背中に向かって叫ぶ。義昭は冷めた目で私を見ると無言で消えていった。

「…色葉様、この時代にいる時はこちらを着てください」

天くんは私に水色の着物を渡す。私はそれを受け取って着物に着替えた。