蓮斗の焦った声が降ってくる。

 言葉を返す余裕はなく、詩穂は浅い呼吸を繰り返しながら、右手で彼のスーツのジャケットをギュッと握った。胸がムカムカして、胃の辺りが熱くて、頭がぐるぐる回って……。