いつか、こうなる事は分かっていた。

部下と恋仲になり、その女(ひと)を何年も愛人として囲っていた父。
そのうち愛人の家に入り浸って帰らなくなってしまった。
そんな父への腹いせなのか、子供の手が離れたからと以前働いていた刷版社に復帰し、仕事が忙しいと言う理由で、家の事を何もしなくなった母。

二人は、たまに顔を合わせても、会話らしい会話もなく、どちらかが口を開けばケンカになっていた。

母は、私の顔を見ると

“ 勉強してるの?
貴女は男なんて信じちゃダメ!
もう、男に頼って生きて行く時代は、終わったのよ!
一人で生きていく術を身に付けなさい!”

いつも父に当て付けの様に言っていた母。

二人は…
いつから…話さなくなったの…?
いつから…顔見なくなったの…?
いつから…いがみ合う様になってしまったの…

そんな両親が嫌いで、高校からは祖母の元から学校へ通っていた。