「…ったく、殆ど一方的に話しやがって」


ため息を溢しながらベッドの上にある毛布を手に持った。


「友達の枠か…」


正直なところ、薄々と自覚していた。


莉彩に対して沸き上がる感情の違和感を。


“友達なのに、なんで?”って、漠然と疑問に思ってきたけど…


ようやく答えが見えた。


気付いてなかっただけで、無意識のうちに少しずつ惹かれてたんだ、アイツに。


「………」


リビングに戻って来た俺は、莉彩を起こさないように静かに毛布を掛ける。


小さな寝息をたてながら眠る彼女の頬に触れようとして伸ばした手を途中で止めた。


でも、この感情は…消さないといけない。


俺が好きなのは、あの子なんだから。


ポケットに入れていたキーケースを取り出して、ストラップの小さなガラスボトルを握りしめた。


莉彩は、友達。


これからもずっと…。


“友達”なんだ。


言い聞かせるように、頭の中で何度も同じ言葉を繰り返した。