「梓? 借りるもの、何だったの?」


立ち上がった小鳥のほっそりとした手をつかみ、走り出す。

もちろん全速力とはいかない。

小鳥が転んでケガをしたら大変だ。


「寝顔が可愛いと思う人!」

「えっ。私の寝顔で大丈夫?」

「小鳥の寝顔が可愛くなかったら、いったい誰の寝顔が可愛いって言うの!」


小鳥のペースで走り、結局2位でゴールインした。

もちろん審判の判定はクリア!


当たり前だ。

小鳥の寝顔が可愛いなんて、誰にでもわかる。


「小鳥、ありがと!」

「ううん。足引っ張っちゃってごめんね? 梓の足なら本当は1位とれたのに」

「全然! 小鳥がんばって走ってくれたじゃん! 大好き~っ」


小鳥といちゃいちゃしながら応援席に戻ると、ミーナに思い切りあきれた顔をされた。


「私はアズにゃんにラブ系のカード引いてほしかったよ」