「お姉さんたちは、旅をしてるんだよね?」
「ええ、幻の料理を求めて」
「それならボクも行く! 一緒に行かせて!」
食べ終えた包み紙をくしゃりと手の中に丸め込みながら頼むノア。
「わ、私は大歓迎だけど、ノアちゃんのお母さんに相談しないと」
「ザックは?」
「……危険なめにあうかもしれないぞ」
「わかってるよ。でも、魔物のことなら役に立てるかもしれない」
「どうやってだ?」
ザックに問われ、ノアは勇気を込めるように息を吸う。
「ボク、魔物の心が読めるんだよ」
そう言えば、嘘つきだと言われていじめられ、変な子だと白い目で見られてきた。
アーシェリアスたちは、どう反応するのか。
少しは変な目で見るかもしれない。
だけど、それくらいなら予想の範疇だと伺っていると、アーシェリアスは花が開いたように明るい笑みを見せた。
「凄い! それならカーシーと友達になれるのも納得だわ!」
「余計な戦闘も避けられるし、いいな」
ザックも難なく受け入れ、シーゾーも喜びノアにモフモフと話しかける。
その様子に、ノアは感激して泣きそうになったが、ぐっと堪えて笑顔を作る。
「お母さんにはちゃんと許可を取るよ。だから、いいかな?」
訊ねられ、アーシェリアスはザックと目を合わせ頷きあう。
「あなたが一緒にきてくれたら心強いわ」
お母さんの許可が降りるならぜひと続けたアーシェリアスに、ノアは「ありがとう!」と感極まって抱きついた。