父への説得の時もそうだったが、それだけでなく安心して旅をしてられるのもザックがいるからだ。

ザックの存在を心強く感じ、アーシェリアスの中で信頼度が増していく。

お礼に美味しいおやきをたくさん作ってあげようと心に誓ったところで、席についたザックが「ところで」と口を開いた。


「さっき掲示板を見ていたらマスターに声をかけられた。話によると、町の近くにある夕霧の崖と呼ばれる森の中に幻の果実というものがなっているらしい。幻の料理に関係しているかはわからないが、行ってみるか?」


話し終えるとエールを飲み干したザックにアーシェリアスは大きく頷いてみせる。


「もちろんよ!」


今は何の手がかりもないが、だからこそ動いてみるべきだ。

意気込むアーシェリアスを見て、ザックは首を縦に振る。


「じゃあ、明日さっそく行ってみよう」


アーシェリアスは「そうしましょ!」と答えると、会計を済ませてザックと共にブリーランの酒場をあとにした。