テーブルの上に、湯気たつ紅茶とお父さんの手作りシュークリーム。

白い粉砂糖がふられた生地からのぞく、とろけそうなカスタードクリーム。

うーん。

見てるだけでお腹が鳴っちゃいそう。

「いただきまーす!」

かぶりつくと、クリームのとろりとした甘さとバニラの香りが広がる。

口じゅうにサクサクとトロトロのハーモニー。

ああ…幸せ。

カスタードがあふれて手についてしまうのはご愛敬だ。

「おいしい?」

「うん!最高だよー」

「良かった」

お父さんは本当に嬉しそうに笑い、カップに口をつけた。

紅茶の香りを楽しむように目を閉じている。

これは上機嫌のあかし。

……よし。

広瀬くんの話、今しても大丈夫そうだ。

「ねえ、お父さん。次の料理教室なんだけどねー。私の友達も招待していいかな。すごく料理好きな子がいるんだ」

「へえ。うん、もちろん構わないよ。弥生ちゃんかな?」

「ううん、別の子。つい最近仲良くなったっていうかー」

「そうか。お友達が増えて良かったね。楽しいね」

……う。

なんだろう。

お父さんの優しい笑顔を見ていると、なぜか……なぜか広瀬くんが男の子だと言いにくい。