ケータイ小説 野いちご

わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~

ラウルさんの話では、ここ一週間ほどクリフ様は日中休憩もとらずに働いているのだそうだ。

朝夕の食事は私と取るために離れにいるのだけれど、実はあまり睡眠をとっていないらしい。

同じ部屋で寝起きを共にしているもののクリフ様はいつも私が寝た後で静かに寝室に入って来るから、彼が何時頃ベッドに入っているのかはわからない。

ベッドも別々だしね。

朝、目が覚めるとクリフ様がいるからまさかあまり寝ていないとは思わなかった。

「アイツの顔色は悪くないはずだ。竜王は俺たちよりずっと体力があるからな。
だけど、なあ。
そのバカ体力にたかが側近が同じように付き合えるわけないんだよ。あいつ、あほだろ!」

酷い口の利き方をして「あああ」と頭を掻きむしっている。
ラウルさんに相当のストレスが溜まっているらしいのはよくわかった。

「私が知ってもいい範囲でお答えくださいね。何かあったのですか?その皆さんが忙しい理由ですが」

「原因はいろいろあるんだが・・・」

ラウルさんが申し訳なさそうに私を見る。

「教えられるのは、クリフォード様が楓ちゃんのために焦ってるってことくらいか」

「焦っている、ですか?」

「そう。大変なんだ、アイツ楓ちゃんと過ごす時間が欲しくて政務を急いでいるし、楓ちゃんのために俺たちを政務以外の用事でもこき使っているんだ。
アイツは番の楓ちゃんが側にいるからアイツの気力体力は満ち溢れていて。もう俺たち周りはへとへとで付き合えない」

マズイ、何なの、その理由。

「・・・理由の全てに私が絡んでいるんですね。何だか本当にすみません」

原因の一つはバッチリ心当たりがある。

アレだよね、私との約束。
この国を見せてくれるという指切り。

数日で落ち着くはずだったお仕事が中々終わらないらしくてそれから10日たった今でも約束は果たされていない。
何度も急がなくていいと私は言っているのだけれど、クリフ様はずいぶんと気にしているようだった。

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