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「これってーーー」
目の前にあるものがちょっと信じられない。

「そうです。楓さまの会社で作られているものだと聞いております。素敵ですね、私はこのようなバスルームを初めてみました。
こちらは楓さまのためにと、クリフォード様が工事の指示をされて昨日出来上がったばかりでございます」

オリエッタに案内されて入ったバスルームはシャボット社のものだった。
リゾートホテル仕様のジェットバス付浴槽がある高級感いっぱいのバスルーム。
バラの花びらまで浮かんでいる。

こんなもの地上からどうやって運んで設置したのだろう。
会社でもこんな大きなユニットはすぐには準備できないはずだし、配管や配線工事は?

もしかして、これが社内がざわついていたクリフ様との大型契約の一つだったりするのだろうか。

驚きで身動きできなくなっていると、ここで入浴の準備をしてくれていた侍女のパメラさんが微笑んだ。

「楓さま、本当にいい香りで素敵ですね。私は地上に旅行で行った時に浴槽に入りましたがこのようなものではありませんでしたよ」

「そうよね、こんなに大きくて素敵なものは地上でも特別な場所にしかないの。驚いたわ」

「本当に素敵です」とうっとりしたパメラさんを見て思わず
「じゃあ一緒に入らない?」と誘ってしまった。

驚いた顔をするパメラさんにシャボット社の社員の血が騒ぐ。
「このお風呂の設定は3~4人で楽しめる設計になっているの。だからよかったらーー」

しっかとキラキラした瞳のパメラさんに私の手を握られた。
「ありがとうございます!楓さま、ぜひよろしくお願い致しますっ!!」

「せっかくのお風呂が冷めないように早くお支度してきてね。オリエッタさんも一緒にどうかしら?」

「ありがとうございます。ですが、私は湯上りに楓さまのお手伝いがありますから」

「お手伝いって何?まさか昨日みたいなことをまたしようと思ってる・・・?」
あれだ、剥かれて磨かれ着せられたあの一連の作業のことか。

「ええ。もちろんです」

「いらない、あれいらないから。着替えも自分でできるし、今日はこの後何も予定が入ってないはずよね?」

「ですがーーー」

「いいって。ホントに。後で人に会うときはお願いするかもだけど、そうじゃなかったらいいから。自分のことは自分でやるわ。あ、背中のファスナーが届かない時は助けてね」

強引な私とバスルームに興味津々なパメラさんの説得もあってオリエッタさんが折れてくれて私たちは3人でバスタイムを楽しんだ。

オリエッタさんとパメラさんの素晴らしいプロポーションに少し自信を無くしたのは仕方ない・・・・。