ケータイ小説 野いちご

破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


(妖精だからって理由でみんなが納得しているのはありがたいよね)


密かに口元に笑みを浮かべ、アーシェリアスは鶏ガラスープを溶かした鍋の中にお米を入れて軽くかき混ぜてから蓋をした。

そうして、鶏ガラの濃厚な香りが厨房に漂う中、たまにかきまぜつつ弱火でコトコト煮て、お米に芯が残っていないことを確認すると、溶き卵を円を描くように少しずつ回し入れてから火を止め、また蓋を乗せる。

余熱で卵が固まるのを待つ間、トレーと器、スプーンを用意し「そろそろいいかな」と蓋を持ち上げると、湯気がふわりと立ち上った。

器に盛り付け、刻んでおいたネギを中央にパラパラと乗せたら完成だ。


「いい匂いですね。以前お嬢様が振る舞ってくださった【らあめん】の香りに似ています」

「さすがクロード。実は同じスープの素を使っているの」


ラーメンを作ったのはちょうど一年ほど前だ。

その頃はまだシーゾーはいなかったが、冬の寒さを感じたらどうしてもラーメンが食べたくなったアーシェリアスは、前世で母とお手製中華麺を作った記憶を引っ張り出し、小麦粉や重曹等を使って中華麺を作った。

そして、鶏ガラスープの作り方もなんとなく覚えていたのでクロードに手伝ってもらいながらラーメンを完成させ、父や兄、屋敷で働く者たちの舌を喜ばせたのだ。


(ラーメン美味しかったのよね……! ううっ、また食べたくなってきた)


近々作ろうと心に決め、トレーを手にするとザックの元へと急ぎ戻る。



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