校門近くまで来ると二人で校舎を振り返る。

「卒業しちゃったね。」

「だね。寂しい?」

「うん、空気みたいにしてたけど高校生活最後の年は八神くんのお陰で楽しく過ごせたし…やっぱり寂しいね。」

「空気みたいって自分でいう?」

お互い顔を見合わせどちらからともなく笑った。

この門を出ると僕達の高校生活は本当に終わる。

だけど、

僕達はこれからだ。

今、漸くスタートラインに立ったんだ。

「佐奈、ジャンプして校門から外に出てみない?」

恋をすると何もかもがキラキラと輝いて見えるというのはどうやら本当らしい。

僕はそのキラキラ効果の勢いで提案すると

「なんか青春みたいで良いかも。」

佐奈も乗ってくれた。

「よし、行くよ。せーの。」

僕達は二人して高くジャンプし高校と言う枠から今、飛び出した。

「卒業おめでとう。」

「八神くんもおめでとう。」

「じゃあ、行きますか。」

「うん、行きますか。」

「じゃあ、尊《たける》って呼びますか?」

「うん、呼びますって、えっ、な、なに?」

「動揺しすぎ。」

「だって…急に言うから。」

「だけど呼んでほしい。」

「はい、努力します…」

そしてまた僕達は笑う。

「じゃあさ、名前はボチボチ呼んでもらうとして…大学行き始めたら一緒に住んじゃう?」

「うぎゃっ!」

「アッハッハッ…」

まだ春の風は少し冷たくて…

けれど僕達の笑い声をどこまでもどこへでも運んでくれる。

それはとても、とてもキラキラとしていて

例えうまく行かない毎日があったとしても

きっと、

ずっと、僕達の世界は輝いている。

僕達が立ち止まらない限り

輝き、続けるんだ。

完結

※長い間お付き合い頂きありがとうございました。この後、付き合った二人の二年後の話が続きます。よろしければどうぞ(^^)