「……っ、や」

「ほら、こんな風に。白野さんが感じるところ、たくさん探し当てるからね」

「へ、変態な人…!」


ニヤリと意地悪な笑みを浮かべる彼は本当に私を照れさせるのが好きなようで。

熱くなる私の頬を指で撫で、楽しそうに笑っている。


「でも白野さんは純粋だから、ゆっくりと慣らしていかないと」

「な、何言って…」

「うん、ゆっくり覚えていこうね。
これからたくさん」


悪そうに笑う神田くんから思わず顔を背けるようにして俯くけれど、彼がそれを許してくれず。

頬を撫でていた指が下へとおり、今度は顎を持ち上げられた。


逃げ場のない状況で。
神田くんの瞳が私を捉える。



「だから今日はまだキス止まりかな」

余裕な笑みを浮かべられ、そんな彼の姿にドキドキが止まらなくなる。



「……じゃ、ちょっとだけ…」
「白野さん?」

「ちょっとだけなら、先に進んでもいいよ…?」


言い終わってから恥ずかしくなり、思わずぎゅっと目を閉じたけれど。

これが本心だったりする。


神田くんとならキス以上のことでも大丈夫だと思うし、むしろ先に進みたい気持ちもあった。

ただ勇気が出ないから、少しだけ。


「……もー、そうやって白野さんはまた俺をかき乱す」

「そ、んなつもりは…」


うっすら目を開けると、なんと神田くんの頬もほんのり赤く染まっており。


「……ふたりして照れて、おかしいね」
「う、うん…」

「でも白野さんの純粋さにはいつも敵わないからなぁ、こうやって調子狂わされる」


嘘だ、狂わされてるのは私のほう。
神田くんはいつも余裕たっぷりのくせに。


もちろんそんなことを言い返す余裕はなく、じっと神田くんを見つめていたら、彼がふわりと柔らかな笑みを浮かべ。


「じゃあ今日は少しだけ先に進もうか」
「……っ」


私の言葉を受け入れた彼。
そのため、さらに恥ずかしくなってしまうけれど。


「止められなくなったら抵抗してね」
「へ……」

「理性を必死で保つつもりはないから」


なんだかその言葉にひどく危険を感じた時にはすでに遅くて───


神田くんがそっと私の唇を塞ぎ、優しいキスを落とした。

次第にキスは深くなっていき、その甘さにとろけてしまいそうになる。



神田くんとふたりで過ごす甘い甘い時間は、まだ始まったばかり。




END