「凛花(リンカ)さん、彼女らの始末は済みましたか?」
「はい。始末は順調に終わり、何も問題は発生しておりません」

都内某所。
疾うに日が落ち、寸分先も見えないような暗い路地裏に、高校生らしき少女と一人の男が立っていた。

凛花と呼ばれたその少女の顔は誰もが目を引くような美貌でいて、大人らしく整った顔は何の感情にも染まらず無表情だ。
一方の男もこれまた端整な顔立ちだが、そのぱっちりとした二重は糸目になっていてそれは窺えない。そして口角が異常なほど上げられており、見たら背筋が寒くなるような顔である。

「聖凛学園のウラを知り、かつその情報を売った情報屋も抹殺しましたし……はい、完璧ですね。お疲れ様です。凛花さん、今日はもう帰っていいですよ」

男がそう凛花に言うが、凛花は静かに首を横に振った。

「いえ、まだ生徒会の仕事が残っておりますので、一旦校舎に戻ろうと思います。では私はこれで。失礼します、雨宮(アマミヤ)先生」

凛花は華麗な動きでしなやかにその場でジャンプし、建物の上を音もなく高速で移動していく。

「凛花さんは真面目ですねぇ。いやはや、教師としても人間としても、脱帽です」

その後ろ姿を見据え、雨宮は独り言ちた。