翌日、怒涛の忙しさで祭りは終わり、夜が来た。
祭りで神様に捧げた酒などを頂く、関係者による直会が社殿横の広間であって、お開きになる。
だが、まだみんな、そこ此処で片付けようとした座布団をつかんだまま、話し込んでいた。
祭りの熱気がまだ残っていて、去りがたいのだろう。
普通の祭りは来年もあるけど。
こんな大きな祭りは十二年先だしな。
かなり酔っている万理が、
「そのときには、きっと、私の子が舞うわよ~っ」
と息巻いている。
そうやって祭りって、子々孫々受け継がれていくんだろうな、と深月は思った。
いつか、此処に居るみんなが居なくなっても、その先も。
祭りに込めた私たちの願いや思い出を誰かが繋げていってくれるのだろう。
そう実感した深月は、
「じゃ、お先に」
とようやく帰ろうとした。
が――。
「待て」
と陽太に腕をつかまれる。