「熱測って」


詩優は容赦なく私の布団を捲った。私がまた布団の中に潜ろうとすると手をぱしっと掴まれた。



……隠れさせてくれないみたい…



大人しく頷くと、詩優が私に体温計を手渡す。



熱を測ると36度ちょうどだった。



「熱下がったな。あとは大人しくしてろよ?」



ぽんぽんと私の頭を撫でてくれる。詩優の手はやっぱり温かくて、安心する。



だから素直に「うん」と頷いた。




そのあとは何か言われるかと思ったけど…詩優は何も言わないで部屋を出ていった。




あれは…聞かなかったことにしてくれてるの…?それとも気にしてない…とか…?




それはそれでありがたい。好都合だ。






ふと自分の姿に目をやると……制服姿だった。私はまだあの時のままの格好。しかも制服の上から詩優のパーカーまで羽織って…



ゆっくり起き上がると、制服にかなりシワが入っていた……ヨレヨレしてて格好悪い。



ずっと着て寝てたから仕方ないんだけどさ…



私は適当に着替えを持って、リビングにいた詩優に「お風呂借りるね」と小さな声で言った。



「おう」



と返事をする詩優。やっぱり普通にしているから何も気にすることはなさそう。