俺が花からもらったことを、別に気にもとめてない様子。


こんな涼を見たら、きっと花は少なからずショックを受ける。それがまた悔しくて。


「いらねぇよ。俺、好きでもない女が作ったもんとか食えないし」


それだけ言って、山ほどのクッキーをバッサリ断る。


わざと勘が良ければ気づくようなセリフを吐いて涼を試すけど、涼は「そっか〜」なんて残念そうに呟くだけ。


涼の余裕にイライラしてる自分はガキで。
分かってんのに、止まらない。


「涼は誰にでも良い顔しすぎ!断るとこちゃんと断んねぇと、バレンタインが今から恐怖」

「ははっ、確かに。でも女の子の好意を邪険にするわけにもなぁ。……あ、でも!俺も気になる子からのクッキーは、頼にもあげないつもりだったよ」


───ドクッ


どんなに探しても見当たらない花からのクッキー。涼の言葉。もしかして?って考えながら、嫌な音を立てて軋む心臓。


だけど、


悟られたくない俺は、


「へぇ、学習したじゃん」



相変わらず、強がりばっか。