私が返事をすると、ガチャッとドアが開いて、有村くんが中に入ってきた。その手には、グラスが二つ乗ったトレーがある。


「これ、アイスティーしかなかったけど。飲める?」


わざわざ飲み物を持ってきてくれたみたい。


「えぇっ、ありがとう! 飲めるよっ。アイスティー大好き」


「よかった」


彼は、ベッドの前のローテーブルの上にアイスティーを二つ置くと、私の隣に座る。


突然の部屋で二人きりという状況に、一気に心拍数が上がってしまった。


「なんか、気を使わせてごめんね。着替えを貸してもらったうえに、わざわざ飲み物まで……」


私がそう言って、おそるおそる彼のほうを向くと、有村くんは首を横に振った。


「いや、気にすんなよ。もとはといえばうちの弟が迷惑かけたんだし。謝らなきゃいけないのは、こっちのほうだから」


「そ、そんなっ。べつにわざとじゃないし、私は全然平気だよ。あ、それより、祐飛くんは?」