うそ。
そんなに分かりやすいの?
たしかに顔がいっきに熱くなったのは事実。
見られたくなくて、よりいっそう顔を背けた。
「私が不都合とかじゃなくて、こういうの、おかしいから。……付き合ってもないのに」
「付き合えばできるんだ?」
「えっ?」
「上月と付き合えば、いくらでも手出していいの?」
「……は」
すると、また肩に顔をうずめてきて
「やっぱいい」ってつぶやいて。
「こんなお堅い女、こっちから願い下げだわ」
どこまでも失礼なことを言うこの男。
「女は手軽にやれんのがちょーどいい」
綺麗な顔して最低なことをホイホイ口にする。
全国女子を敵に回す発言。
「お堅くて悪かったな! 離れろ!」
正直、中島くんが口が悪いと助かる。
こっちも同じ勢いで反抗できるから。
「んー……でも、あと10……30秒くらいはこうしてたいかも。 ねえ、上月。なんでだと思う」
すぐさま甘え口調に切り替えた中島くん。
よくもまあこんなに態度を変えられるものだと感心する。
「まだ熱、下がってないんじゃない」
そっけなく返すと
「……そうかもね」
と、綺麗な黒目が細められた。