私は途端にドキドキしだした胸に手を置き、小さく頭を下げ慌てて公園から立ち去った。

変に思われていないだろうか。
じろじろ見ていたら、気持ち悪いよね……。

そう思いながらも、彼のプレーから目がそらせなかった。


彼が練習する姿を見ていると、ずっと眠ったままだった私の心の奥のなにかがようやく目覚めたような不思議な感覚がある。

家まで帰る途中、ふと足を止めて海里くんと同じように空を見上げると、薄い筋状の雲が広がっている。


「私も、頑張りたい」


そんなふうに思えるのは、やっぱり海里くんのバスケを見たせいだ。


空に向かって手を伸ばすと、生ぬるい風が指先を吹き抜けていった。