「うん、そうだよ。
もしかして嫌だった?」

「ううん、違うよ。
良かったって、安心したの」


私の勝手な解釈じゃないとわかったから。


「もー、かわいいこと言う」
「かわいいことなんか言ってない…」

「存在自体がかわいいからね、キスのひとつやふたつじゃ足りない」

「……っ」


キスのひとつやふたつって、それ以上したくせに。
なんてことは言えないけれど。


「白野さん」
「だ、ダメ!ノート写すの」

本来の目的を忘れそうで、話を戻す私。


「ノートなんて写さなくても大丈夫」

「勉強できなくなっちゃうよ?
ノートの点数だってもらえるのに…」

「ノートの点数をとるか白野さんにキスするか、だったら絶対後者を選ぶよね」


そんなストレートな言葉を使って、私を照れさせようとする。


「の、ノートを全部写すまで、キスは絶対しちゃダメです……!」


こうなったら禁止令を出してやろうと思ったけれど、これが逆効果だったようで。


「じゃあ、写したら白野さんにキスし放題?」

なんて、微笑みながら聞いてくる彼は本当に意地悪な人。


「……っ、一回だけ」

そんな何回もされたら、絶対体がもたない。

さっきのように全身の力が抜け、熱でおかしくなってしまいそうになるから。