準備を終え、いつもと同じ時間の電車に乗る。


「……楽しみ」


思わず言葉にしてしまう。

神田くんと会えるってだけで、いつもの風景が違って見えた。


それほど、今日この日が待ち遠しかったのが正直なところ。

自分の中で神田くんの存在が大きくなっているのだ。


車内にアナウンスが流れ、私の降りる駅名が言われる。
乗り換えの駅だ。

次に乗る電車から神田くんに会えるのだ。


いつも私がホームで待っているところで、彼と合流することになっている。


階段を降り、下のホームが見えてくる。
私がいつも待っている場所にいけば───


見慣れた、綺麗な横顔が見えた。
遠くからでもわかるほど、目立つのは神田くん。

黒い髪が少し風でなびいている。


耳たぶにつけてあるピアスが、やはり危険さを漂わせている。