──「……お前、美麗って顔じゃねぇだろ……」



と言った時のことを、今でもずっと覚えてる。

最低最悪の、酷い言い方だ。


売り言葉に買い言葉…な感じで美麗にも色々言われたけど、言われた言葉なんて覚えていない。

覚えているのは…自分が言ってしまった最低の言葉だけだ。


クソ女。

ニセ美麗。

目障りだからさっさと消えろ。…とも言ったな。


本当に俺、最低だ。

なのに美麗が「唐草 美麗」を知ってるってわかったら、手のひらを返したように笑顔で接するなんて…あの時の俺、マジで死ねばいいのに……。



「……ほんっと、許してもらえてよかったよ……」



苦笑いを浮かべながら呟く。


短い間に色々なことがあったけど……美麗との関係は、今は良好だ。

美麗は俺の写真を「好き」って言ってくれたし、俺に自然な笑顔も見せてくれている。

だから俺も自然体で接することが出来るんだ。


写真の話が出来て、一緒に笑い合える特別な存在。

それが美麗だ。



「……」



道路の隅で立ち止まり、周りに人が居ないのを確認したあと携帯をポケットから取り出した。

手早く操作して画面に表示させたのは……隙を突いて撮った、楽しそうに笑う美麗の写真だった。