「ごめんごめん。でも誰かに頼ればいいのにずっと一人で頑張っててさ、そんな姿見てから橘さんのこと目で追うようになった」



「自分ではわかってないかもしれないけど、橘さんのその性格に救われた人結構いるんだよ」


「嘘だ」


「本当だよ。でも救われた人がいる分、橘さんが損することも沢山あったのも知ってる。

だから、これからは俺が責任持って幸せにする」








…自分の性格のこと、そんな風に見ててくれたなんて思いもしなかった。

だって自分の性格が本当に嫌だったんだ。


嫌と言えない断れもしない、人に頼れない、人前で泣けない、全く可愛くないこの性格が。



七瀬くんの言う通り、こんな性格のせいで損することも沢山あって嫌な思いも沢山した。




堀北と麻里ちゃんの時だってそうだった。



でも、そっか。
見ててくれた人がいたんだ。





こんな私でも好きになってくれる人がいたんだ。






………そっか。



そうなんだ。









「でもこれからはちゃんと頼らなくちゃダメだし
嫌なことも無理してやる必要ないからね」




そう七瀬くんに念を押され、首を縦に振った。

自分を否定しなくていいよ

そんな風に言われている気がして


…とても嬉しかった。






なんていうか、私本当に




「………好き、七瀬くんのこと」



思わず口に出たその言葉に、ハッとする。









「ーーーー…あー、本当ずるい。
橘さんが風邪ひいてなかったら襲ってたよ」






自分の髪を手でくしゃくしゃっとしながらの七瀬くんのその発言に





「え、」



ドン引きした。
と同時にちょっと顔が熱くなった。