彼の姿が見えなくなるまでずっと見ていた。


麻里ちゃんが困ってるんだから仕方ないよ。




それに今日はもう十分楽しめたし、いいじゃないか。


アトラクションにもたくさん乗ったし
お化け屋敷にだって入った。


七瀬くんに頭だって撫でてもらっちゃったりしてさ。



コウくんの可愛い写真も七瀬くんの写真も手に入っちゃったんだよ。








十分じゃん。
そうだよ、十分なんだよ。










「…こなお姉ちゃん…?」









隣にいたコウくんに不意にぎゅっと手を握られた。








「…泣いちゃ、いや…。こなお姉ちゃん…」






え、?



コウくんのその言葉にハッとして目元に手をやる。

……なに、泣いてんの、私。



コウくんが見てる。


泣いちゃだめでしょ。





早く止まって。止まれ止まれ止まれ。






「…っ、コウくん、ごめんねっ…」




すぐ泣き止むから。ごめんね。




ぎゅっとコウくんを抱きしめれば、






「だいじょうぶ…?」






私の目元に手をやり涙を拭ってくれるコウくんの優しさに、余計に涙が止まらなくなった。











……だって私、まだ、やり遂げてないことがある。











今日の2個目の目標。まだ、達成できてない。




















ーーーーーー……告白、できてない。
























そのあと、コウくんを家まで送り届け帰宅した。


自分から七瀬くんに行ってと頼んだくせに、こんな気持ちになっている自分に嫌気がさす。


麻里ちゃん大丈夫かな。

そう思う気持ちはあるけれど、心の隅には邪魔された。そんな気持もあるわけで。


何でこんなに醜いんだろうね私は。




あー、頭痛い。もうなにも考えたくない。


………いや、本当に頭痛いんだけど。



おかしいと思い、体温計を取り出し熱を測ると
まあ見事に38.5度あった。

熱があると自覚した途端、一気に体がだるくなり
ベットに寝転がり布団を顔までかぶる。









寝ずに遊園地なんか行くからだ。