この街の風景は彼と出逢った時となにも変わらない。

雲ひとつない青空も白い建物が並んでいる街並みも、警戒心の強い野良ねこでさえ、道の真ん中で昼寝をしている。


そんな穏やかな時間が流れているこの場所で、彼はいつも私の隣にいた。


なにをするわけでもなく、喋るのが得意ではない私とは反対に彼はいつも楽しそうに話してくれる。

彼の家族のこと、彼の友達のこと、彼が昔住んでいた町のことを、なんでも私に教えてくれた。


人見知りが激しい私だったけれど、なぜか彼のことを拒絶しようと思ったことは一度もない。


17歳という同じ年齢で、育った環境もここに来るようになった理由も、彼とは面白いぐらいよく似ていた。

そんな彼とどのくらいの月日を一緒に過ごしただろうか。

彼が言ったとおり、いつの間にか長い付き合いになってしまった。