「そっか。今日は俺のわがまま聞いてくれてありがとう」

当たり前だけれど、彼はすぐに頷いてくれて。
それが少し寂しいなと思ってしまう。


「わがままなんてそんな…私のほうが先に会いたいって思ってた自信あるよ」


思わず勢いで、恥ずかしいことを言ってしまう。
顔が熱くなり、慌てて俯く中。

神田くんに頭を撫でられる。

いつものような優しい感じではなく、わしゃわしゃと少し乱暴に。


「わっ…髪が、ボサボサになっちゃう」
「自業自得だからね」
「…むっ、どうして」


恥ずかしかったはずなのに、神田くんの言葉が引っかかって。

思わずムッとしてしまう。


「……っ、そんなかわいい顔で睨もうとしない。
涼雅にもその技使ったんだよね?」

「そ、そんなことないもん」


神田くんはすぐかわいいと言うから、そっちのほうがタチの悪い気がしてきた。