片膝をつき、しゃがみこんだ私を抱き寄せてくれているから、いつもよりも目線が近い。
想いが募って切ないほどに、きゅんとする。
だけどこんなシチュエーションに不慣れな私は、咄嗟にどう反応したらいいか分からないから。
「……もう、びっくりしちゃったよ。こんなふうに心配してもらえるなんて」
都合よく勘違いしそうになる心を諫めるように、ついへラッとした笑顔を取り繕う。
すると、由良くんの表情に一層真剣な色が差したのが、暗闇の中でも分かった。
「心配しますよ。女の子なんだから」
「由良、くん……」
――ねえ、どうして。
そんなこと言われたら、
「もう大丈夫。電気が復旧するまでここにいるから」
……思い上がってしまう。
私はそっと、由良くんの優しい声に縋るようにジャージの裾を掴んだ。
好きだ。
遠くから眺めていた頃の彼よりもっと、今目の前にいる由良くんのことが、好き。