「悪い。しくじちっまって…」


「ちょっと貸して!」


私は急いで火を止め、フライパンを水にいれた。


「これでなんとか沈火。
……もう、何があったのさ?」


一月君は恥ずかしそうにうつむく。


「いや。希望が気持ちよさそうに寝てたから……早起きしたし、ついでに朝飯でも作って驚かせてやろうと思って…」


一月君はランニングでもしてきたのか、赤いスポーツウェアを着て汗をかいていた。


「それで失敗して燃えちゃったの?」


コクリ。


「ほんとわりぃ……。
なれないことはするもんじゃないな…」