部屋が静かになったところで…




倫也が口を開く。




「あの子さ、先々代の総長の孫なんだよね。しかも超お金持ちの高城財閥の娘!それでさ~、雅ちゃんが詩優に惚れたみたいで先々代の総長にそのことを話したらしいんだ」



……先々代の総長のお孫さん…



「そしたら大変。なんと先々代の総長がわざわざここの倉庫までやって来て、雅の婚約者になってくれないか?って言いに来て」



なんでだかわからないけど、ズキリと胸が痛む。




「先々代の総長の頼みだし、なかなか断れない詩優。まぁ、俺でもはっきり言えないだろうな。


その時はちゃんと断ってなかったんだけどさ、詩優はあとからちゃんと断りに行ってた。


でもどういうわけか雅ちゃんは納得してなくて、たまーにここの倉庫に来るんだ」



全部話してくれた倫也。「嫌な女だよね」と言って私を離してくれる明日葉。




……詩優を好きなんだったら…同居してることがバレたらきっとよく思わないだろうな……






下を向く私に、



「ひめちゃん、送ってくから帰る?」



と倫也が優しく声をかけてくれる。



「…ごめんね倫也…お願いします…」



「りょーかい!」




倫也は嬉しそうにして、「暇だからあたしも行くー!」と明日葉がぴょんぴょん跳ねる。