「あー、よかった。雪菜のおかげで宿題無事終わった」


彼方くんがノートをパタンと閉じて、嬉しそうにつぶやく。


「よかったね、授業に間に合って。でも、宿題はなるべく家で自分でやってきてね」


私がちょっと呆れたように言うと、眉を下げて笑う彼。


「はは、ごめんごめん。だって全然わかんなかったから」


「そうなの?でも、今説明したら意外と理解できてたよ」


「それは雪菜の教え方が上手いからだって。超助かったよ!ありがと」


そんなふうにキラキラした顔で礼を言われると、悪い気はしない私。


彼方くんはいつだって素直で、なんだか憎めない。


感情を表に出すのが苦手な私とは正反対で、発言がストレートだし、すごくわかりやすい性格をしてるなぁと思う。


「そういえばさ……へっくしゅん!」


そこで突然、彼方くんが何か言いかけたと思うと、大きなクシャミをした。


「だ、大丈夫?」


思わず問いかけたら、彼はちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめる。


「あぁ、うん。ごめん」


すると、近くでその様子を見ていたクラスの一部の女子が、途端に騒ぎだして。