「…今朝はごめん」



エレベーターに乗りながら詩優はそう言った。



「…詩優は悪くないの……私が…悪くて……だから……ごめんなさい……」



必死に堪えていた涙がぽたぽたと溢れて、止められない。



「……怖い思いさせたのは俺の方………」



最上階に着いて、詩優はカードキーで開けて部屋に入れてくれる。



「……キスしてごめん」



私の涙を指で拭ってくれる。



「……キ、ス…は…嫌じゃ…なかった……」



自分で言った言葉なのに自分でも驚いた……



……確かに嫌ではなかったけど…



詩優も驚いて動きを止める。



「…けど…前に襲われた時を思い出して……詩優が怖いって思った…」



私の言葉に詩優は「ごめんな」と言って強く抱きしめてくれる。




…詩優の腕の中が温かくて安心する……








「……本当にごめんなさい……」



私がそう言うと、



「もういいから」



と詩優が優しく言う。



「……私…………ここにいてもいいの?」



「ここにいて。俺はお前のこと誰にも渡す気ないし、逃がす気もないから」



詩優に抱きしめられたまま、私の体温は上がり出す。





……私はここにいていいんだ…