ケータイ小説 野いちご

闇に溺れて、秘密のキスを。




「ほら、手をつないだら恋人同士に見えるからいいよね」
「よ、良くない…です」


恋人同士に見られて困るのは神田くんの方だ。

こんな冴えない私と恋人だって誤解されるだなんて、屈辱となる恐れだってある。


「嫌?」
「嫌っていうか、その」


難しい。
嫌という感情はないけれど、ダメだという思いはある。

そもそも命の危険さえあるのだ。


「じゃあ今は、“友達”として一緒に行くだけにしよう」

友達、を強調して話す神田くんだけれど、“今は”という言葉のほうに違和感があった。


今はってことは、いつかは友達という関係が変わる?


よくわからないまま、結局私と神田くんは一緒に学校に行った。


昨日の今日で神田くんとの関係が一気に変わり、戸惑っている私だったけれど───


これはまだ、始まりに過ぎなかった。


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