「……ふっ、いい子」
「……っ」


満足そうに笑い、私の頭を数回撫でたかと思うと少し距離をとってくれた彼。

最初は顔が熱くてたまらなかったけれど、学校の最寄りに着いた頃にはだいぶ落ち着いていた。


けれど───


「えっ、付き合ってるの?」
「さぁ…でもやばくない?」


彼の存在感が大きいため、とても視線を感じてしまう。

やっぱり誤解コースになる可能性も……と思うと怖くて、彼のほうを向いた。


「あ、あの神田くん…!
今からでも遅くないから、やっぱり」

「何?手つないでもいいの?」
「へっ…」


ダメだ、まず会話が成り立たない。
私が口を開けば、彼は制するようにして違う話をしてくる。