「家どこ!?送ってくから!」



ひょいっと私を抱きかかえて、歩き出す男。



「…帰りたく…ない」



思わずそんな言葉を口にしてしまった…



「じゃあ俺ん家おいで。康(やす)!!ここまで送ってもらって悪いけど…やっぱり今日帰るわ」



近くにいたツルツル頭の男の人…



昨日会った人…康さんっていうんだ……



「わかりました」


康さんはそう言って後部座席のドアを開けてくれる。



私は車に乗せられて、










またあの高層マンションにやって来てしまった





また抱きかかえられて最上階の部屋の中に入る。


「まだ痛い?」


私をそっとソファの上におろす。とても温かくて、優しい手で…頬に触れられる。



なんだかその温かさでまた泣きそうになったけど…なんとか堪えた。



「…大丈夫」


私の言葉にほっ、と安心する男。



…名前も知らないのに……2回も助けられてしまった……



「…良かった……ココア飲める?」



優しい声で聞かれ、私はそれに頷く。