涙がたくさん溢れた。



辛くて痛くて…苦しくて……



涙を止めようとしてもなかなか止まらない。



落ち着け。大丈夫大丈夫…



そう思って痛みに耐えて立ち上がる。



腹部にはたくさんの切り傷…血がたくさん垂れて…借りたワイシャツも血で汚れてしまった。



…新しいの買って返さなきゃ……



ゆっくり、1歩ずつ足を進めて、自分の部屋に入る。




消毒液と包帯を薬箱の中から取り出して、傷口を消毒する。



……しみる…




ピルルルルルルル、とスマホが鳴る。


……電話?



スマホに表示されているのは"京子"の文字



私はすぐに通話ボタンをタップした。



「もしもし」



できるだけ明るい声を装う



『花莉!?あんた今大丈夫!?』



ひどく焦った声…



「えー?どうしたの急に…大丈夫だよ!」



今出せる精一杯の明るい声



『本当の本当に!?』



「うん」



嘘つくしかない。京子を危ないことに巻き込むわけにはいかないし…



『……何かあったら直ぐに言うのよ』



悲しそうな声の京子にただ「うん」と返して電話を切った。



このまま電話をしていたらまた泣いてしまいそうだったから…