「なに?佐倉のこと見てんのっ!?」


それから、もう1つ。
あの枕投げから、萌菜が私と佐倉の関係を面白おかしく盛り上げようとしてくる。


別にそんなんじゃないって何度も言ってるのに、ことある事に"同じ布団で寝た仲じゃん?"なんて言って。


「見てません〜」


本当は見てたけど。
見てたって言っても、見てなかったって言っても


結局のところ……


「嘘つけ〜、もうさ!早くくっつけばいいのに」


こうなるのは目に見えてたんだけど。


「うるさい。萌菜こそテツに告ればいいのに」

「はぁ?な、なんでそうなるのよ!」

「人のことばっかり言ってるからよ」

「……テツかぁ。あいつの気持ち全然わかんないからな〜。いっそ、他の人のこと好きになれたら楽なのに」



完全に恋する乙女モードの萌菜は、遠い目をしながら1人で悟りを開き始めた。

私から見た2人は、絶対に両思いだけど


きっと、本人にしてみればテツの気持ちが分からなくて不安なんだろうなぁ。


……そう考えると、本当に恋って分からない。


思えば、私も弥一のことを嫌いになれたらいいのにって何度も何度も思ったっけ、