「和真こそ、時雨くんと仲良くするのはいいけど節度を持ってよ?」

「はいはい、わかってますって。 ……っと、早速 円くんからメール来た。 ええっと、なになに…【トラっていう友達に和真のこと話していいか?】だって」

「あぁ伊勢谷くんだね。 時雨くんのアカウントって学校の友達には秘密らしいんだけど、唯一知ってるのがトラ…伊勢谷 国虎くんなんだよ。 いい人だから話しても大丈夫だと思う」


「あぁー、マルが唐草 美麗以外で唯一フォローしてる人か。 じゃあ【オッケー】って送るね」



慣れた手つきで操作していく和真を見たあと、ゆっくりと歩き出す。

空はさっきよりも暗くなり、1番星がキラリと輝くのが見えた。



「時雨くんも、見てるかな」



小さく呟きながら微笑みを浮かべる。

色々なことがあって大変だったけど、それでも今はなんだか満ち足りた気分だ。


時雨くんのことは好きでも嫌いでもない。

なのに私は時雨くんのことを想いながら、空に輝く星を静かに静かに見つめていた。