その日を境に
1人でよく釣りに行くようになった。


今日だって快晴の下、
大きく息を吸う。





いつもの湖にいつもの景色。


長い髪を適当に結って
いつものスポットに向かう。






「お!まこちゃんやん!
久しぶりやなぁ。」





そこには少しだけ久しい、
いつもの彼がいた。





「久しぶりだね。」




何度か話すうちに
敬語やめて!と言ってきた彼に合わせて
タメ口になったり、





「紺さん今日も早いね。」




紺野さんって堅苦しいし紺ちゃんでええよ!
と言ってくれた彼に少しだけ甘えて
紺さんと呼ぶことにした。


着実に仲良くなれている気がして
すごく嬉しかった。





「そういやずっと気になっとったんやけど
まこちゃんって普段なんの仕事してるん?」





紺さんのそんな質問で
まだまだお互いのことを全然知らないな
と改めて感じる。



知る必要はもちろんなくて。


私から紺さんに質問をしたことは
これまで一度もなかった。