ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書



「と、とにかく、それ飲んだらとりあえず横になって。しんどいでしょ」

「別に、床でいーって‥‥」

「いい訳ないでしょ。ベッドで寝なさい」


ここまで来てまだ頑なな矢吹くんに、少し怒った口調でそう言うと、諦めたように頷いて、「‥‥悪い。借りる」と、ベッドに横になってくれた。

とりあえず、体を休める態勢に入ってくれたことに、ほっとする。


「‥‥志季から、何か聞いた?」

ベッドの中から問われて、どう答えたらいいものか、一瞬固まってしまう。


「えっと‥‥新しいお父さんと折り合いが悪い、って‥‥」

「そ。まあそれで大体合ってっけど、別に深刻じゃねぇから」

そう言って、矢吹くんは天井を仰いだ。


「一応、弟‥‥になんのか。まだ2歳で、生まれた時からなんか病弱っぽいから、過敏になってんだ」

「それにしたって‥‥」

ひどすぎるんじゃないか、とつい言いかけて、口をつぐむ。
私が余計なことを言ったら、ますます矢吹くんの傷をえぐってしまうような気がして。

何て言っていいかわからず、黙っていると、矢吹くんはふっと笑って、「優しいよな、お前」と私を見た。



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