「すみません、痛かったですよね。」



「水沢先生、梨央はいつも嫌だって言うけど、あんまり聞きすぎないで。やるべきことはやっていいから。」



申し訳なさそうに謝る水沢先生に、とんでもないことを颯くんが吹き込んでいる。



突っ込みたいけれど、さっき暴れたせいで体力がない。



目だけで二人を追っていると、颯くんがこちらに向き直って、今度は私に話しかけた。



「嫌いでもなんでもいいよ。梨央が元気になるなら。今はもう何もしないから少し寝な。」



颯くんが子供をあやすように頭を撫でてくる。



その横で水沢先生は淡々と後片付けを行っていた。



颯くんの言う通りに寝るのは少し癪だったけれど、それでも体力も限界に近かったし、頭を撫でている颯くんの手の暖かさに安心してしまい、目を閉じるとすっと眠ってしまった。