ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書


「ちわ―――っす」

「なんだ、えれぇリッパな部屋だなー!」

「あ、あれじゃね?例の女」

3人連れの男の子たちが、大きな声でしゃべりながら、カウンターの方に近づいてくる。上履きの色からして、たぶん1年生だ。

(‥‥こ、これは初日と同じ展開かも‥‥)

警戒して、隠し持った唐辛子スプレーに手をかけつつ、「こ、こんにちは」と声をかける。

すると男の子たちは、じろじろと私を眺め回しながら、カウンター前に威圧的に並んだ。

「‥‥な、何か本を見に来たの‥‥かな?」

「はァ?んな訳ねぇだろ、バカじゃねぇの」

ですよねぇ‥‥と、悲しい気持ちになっていると、真ん中に立っていた男の子が口を開いた。


「アンタって、矢吹のオンナな訳?」

「‥‥えっ」

「もうヤッたんですかー?」


馬鹿にしたような口調で、ニヤニヤ笑いながら問うてくる。

‥‥怖いけど、さすがに腹が立ってきて、「そんな訳ないでしょ」と、私にしては強めの口調で返した。

「なーんだ、やっぱ違うんじゃん。じゃあ別にいんじゃね?」

「ってか、矢吹の女でも別に関係ねーよ。どうせ今頃ボコボコにされてるって」

「気遣う必要もないっしょ!」

そりゃそうだー、と、どこか下品に笑う1年生たちの言葉に引っかかる。



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