ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書



確かに、新任の司書が辞めようが、危険な目に遭おうが、莉王には関係がない。

そのはずなのに、どうにも気になって仕方がない。今この瞬間にも、あの女がまた襲われて、ぽろぽろ泣いてるんじゃないか。そんな思いが心の隅にちらついて離れない。


「‥‥あぁ、ほら。噂をすれば」

「なーんかモメてるねー!」


莉王の先を歩いていた志季と晴斗が、渡り廊下の窓から何かを見ている。

ハッとして近づいてみると、向かいの建物、図書室の窓から、カウンターで瞳子と数人の生徒が揉めているのが見えた。

――――別に、俺には関係ない。俺の提案を、お前は断ったんだから。宣言通りに、自分の力で何とかしろ。

そう思う一方で、どうにもむしゃくしゃして、何かを殴りたい衝動に駆られて、莉王は無意識に舌打ちをかまし、ガシガシと髪をかきむしった。


「‥‥っっっだ――――、くっそもう、イライラすんなァ!!!」


言うが早いか、莉王は走り出した。もちろん、図書室に向かって。


「あーぁ、やれやれ」

「わっかりやすー!ウケる――!」

後ろから聞こえてくる、志季と晴斗の声に、莉王は走りながら「うっせ――――!!」と叫んだ。



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