ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書



「なっ・・・・何するの!?」

ハッと我に返って、思いっきりその子の肩を押して、慌てて距離をとる。にらみつけても、その子は全く動じない。

「んな怒るようなことでもねーだろ。初めてでもあるまいし」

何てことなさそうに鼻で笑うその子に唖然とする。・・・この子、本当に高校生なの?

「まぁ、考えとけよ。返事は1週間後にしといてやる」

そう言うと、その子は「よっこらしょー」と、さっきまでの雰囲気が嘘みたいに呑気な声を上げながら立ち上がった。
ガタイの良い、大きな体が、私を見下ろす。すっ、と、また目の色が変わったように見えた。


「‥‥よーく考えろよ。不特定多数にマワされるより、一人のもんになった方が楽だぞ」

「まっ‥‥まわっ‥‥!?」

「お前みたいなのがこんなとこにいれば、すぐ食われる。ここは無法地帯みたいなもんだからな」


その子はそう言い放って、ふっと雰囲気を緩めるように笑うと、もう一度私の頭を撫でて、出口の方へ向かっていった。


「‥‥あ、そうだ。図書室にエロ本とジャンプ入れてくんね?」

「なっ・・・・そんな、」

「いーじゃんか。1週間後には入れとけよな」

じゃーなセンセイ。後ろ手に手を振りながら、茶髪の男の子ーーーー矢吹くんは去っていった。



「な‥‥、何なの‥‥?」

――これが、鷲高の王――矢吹莉王と、私の出会いだった。



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