中庭にあるバスケットコートでバスケをしている矢野くん。

私は中央階段を一気に駆け降りた。


「矢野くんっ」

「え⁈中川さん⁈」

「ちょっといいかな?」

「うん、お前ら先帰っといてー」

「「オッケー」」

仲間たちも気を使ってくれたみたいだった。

中庭は2人だけ。



「あのね、矢野くん。」

「うん」


まっすぐな瞳で私を見つめる。全身全霊で話をきこうとしてくれているようなそんな感じ。

「私、矢野くんが友達からって言ってくれた時嬉しかった。



…でも、気になる人ができたの。


矢野くんを傷つけてしまってたらごめんなさい。」



「そっか…




好きになったのが中川さんでよかったよ。

せっかくだから、友達でいさせてよ」


「ありがとう矢野くん。」


ありがとうの気持ちが溢れて、深いお辞儀をした。







「…やっぱり花山には勝てなかったかー…」


中川さんの背中を見つめて、ため息をついた。