「お前だって知ってるだろ、うちに借金があることくらい!」


苛立ったお父さんが声を荒げてそう言った。


その瞬間あたしの呼吸が止まる。


両親はあたしの前では隠しているけれど、家に借金があることはあたしも知っていた。


性格にはお父さんの祖父が作った借金だったけれど、祖父が亡くなってからはそれがお父さんにかかってきているのだ。


祖父は不当な闇金会社からお金を借りていたようで、金利は高く全額返そうと思ったら何年かかるかわからない。


祖父の遺産を受け継がないと言っても、それは聞き入れてもらえなかった。


それはもう、あたしの両親のせいじゃない。


それはみんな理解しているはずなのに、みんな誰かのせいにして怒っていないと自分自身がまいってしまうのだ。