「相手が……幸せだから?」


そう聞くと、真由はほほ笑んで大きく頷いた。


「そうだよ愛。あたしはずっとここに彼氏を売り続けてる。それでも相手は不幸にはならないんだよ」


本当だろうか……。


真由の言葉を100%信用することはできない。


けれど、真由が誰からも怨まれていないということだけは、事実だった。


「さ、今日のバイトは終わり。行こう」


真由に促されてあたしはその後をついて階段を上がって行ったのだった。