「どうして?」


あたしがそう質問をすると「今どき喫茶店なんて流行らないだろ。全部ファミレスに乗っ取られて、潰れていってる」と、吐き捨てるように言った。


顔ではニコニコしているけれど、本当は自分のプランを崩されて苛立っているのかもしれない。


チラリと真由を見ると、真由はそんなことおかまいなしに喫茶店のドアを開いた。


カランコロンと低い音が響き、雰囲気のある店内へと足を踏み入れるとコーヒーのいい香りが漂って来た。


こげ茶色で統一された店内。


カウンターには2人の女性が座ってコーヒーを飲んでいる。


奥には3つのテーブル席があり、どれも開いている状態だった。


カウンターの横には地下へと続く階段があり、水彩画の展示を行っているという看板が出ていた。


ここは喫茶店としてでなく、地下室を色んな催し物に使っているのかもしれない。