そう言うと、真由は納得したように頷いた。


他のクラスの生徒たちはF組を敬遠しているけれど、容姿はその壁すら簡単に超えてしまう。


「いいなぁ川田君」


あたしはそう呟いて、文庫本を読んでいる自分の彼氏を見た。


あの眼鏡をコンタクトに変えて、髪をサッパリ切ったら少しはマシになるかもしれない。


正直言って今の隼人の隣を歩くのは恥ずかしいとすら感じられる。


「彼氏なんて誰でもいいんだよ」


あたしは真由へと視線を戻した。


「そんなことないでしょ。だってデートするんだよ?」


「そうだよ。明日は気合を入れて集合だよ」


そう言われて、あたしは何度目かのため息を吐き出したのだった。