そのまま30秒ほどたったとき、ようやく「本当に……?」と、聞き返された。


どうやら相当驚いているようで、その声も掠れている。


「本当だよ。あたしと付き合って?」


小首をかしげてそう言うと、隼人の顔にようやく赤みがさした。


「冗談じゃなくて!?」


「本気だよ?」


今にもとびかかってきそうな勢いの隼人に、あたしは数歩後ずさりをした。


告白を受けるにしても、こんな校舎裏でするんじゃなかったと後悔する。


隼人のような真面目な生徒でも、豹変する可能性があることをすっかり忘れていた。


「じゃ、じゃあ……」


ジリジリとにじり寄って来る隼人に、あたしは後ずさりを繰り返す。


隼人にまとわりつく重たくて暗い雰囲気があたしを逃がさない。


やっぱり嘘、無理。


なんて言えたらいいのに。